Lost Illusion Ⅱ

野崎六助映画ブログ 15年遅れの映画日誌

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安吾探偵控

ango1
ango2

『安吾探偵控』
シリーズ完結編と番外篇の短編 同時刊行
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  1. 2006/12/08(金) 09:03:54|
  2. 日記

地底の太陽の輝き

kim

 作者が十数年かけて完成させた一万一千枚の超大長編小説『火山島』は、現代史の欠落を文学によって埋めようとする壮大な挑戦だった。
 その後も金石範の創作力はまったく衰えることなく、活火山のごとき噴出をつづけている。本書は、『火山島』の終結その後を描く在日編である。続編というよりむしろ、第二部のスタートと受け取ったほうが適切だろう。数万規模の虐殺を逃れた主人公が「亡命」した大阪の地で再生の覚悟を固めるまでの一年余をあつかう。
 命を拾った主人公に希望は訪れず、かえって豚のように生き延びた自責と恥辱がたえまなく襲う。彼は逃れてきた済州島の夢魔にさいなまれる。身を現実におく日本と「虐殺島」の情景は彼の内で一つにつながっている。彼の体内時計は生きながらに引き裂かれてしまったのだ。これは類いまれな青春小説であった『火山島』の後日譚としては自然な運びかもしれない。その夥しい登場人物たちのほとんどは死に絶えてしまった。彼は生き場所を喪ったひ弱なインテリであり、物語の色調はかつての「戦後文学」に近いものとなる。語りうるのはレクイエムでしかないように。
 だが本作のポストコロニアリズム小説としての独自の光芒は、こうした「限定」をも打ち破る。大阪弁と朝鮮語の親しさが語られるように、作者の文体は強靭な民族性を放ちながらも、混血日本語のみずみずしいリズムを刻んでやまない。執拗で優雅だが「外国語」だ。このような混沌たるスタイルを保っている在日作家は絶無だし、他のマイノリティ文学にもみられないだろう。
 大阪も済州島も、幻影の街だ。済州島事件の起こった1948年から時間は少しも経過していないのだ。歳月の腐食をいたずらに歎ずるわれわれの時間感覚のほうが虚妄なのではないか――金石範の文学にふれるたびにそう思わされる。
 作者が再現する戦後まもない大阪の風景のリアリティに驚いてはいけない。作家は回想を巻きもどす必要もなかった……。故郷済州島を再訪することすら許されず(作品執筆時には)描出された「島」の、微細な情景からパノラマ的俯瞰にいたるまでの全景を知る読者にはごく親しい「方法」というべきだろう。幻視の激しさ、故郷喪失の激しさが可能にした逆立的リアリズム。このように脱植民地化過程にある敗戦直後の日本風景を激越な涸渇の文体で呈示した日本文学はなかった。
 地底に沈んだ太陽。五十年を過ぎようとする金石範の在日生活において、太陽が決して地上には昇らなかったことをわれわれは知る。
  1. 2006/12/03(日) 09:16:37|
  2. 日記

音なしではいられない

death row  かつての「音なしではいられない」状態がもどってきている。調子が上向きというより、むしろこれが当たり前だから可もなし不可もなしといったところだろう。主にインターネットラジオ利用だが、快適な環境を探すのに手間がかかった。マシーンは買い替えだろうな。
 遅ればせながら、ドクタ・ドレー『クロニクル』を繰り返し。これはDEATH ROW のベスト・アルバムでもあり、さすがの重量感だ。付録で、ドレーとスヌープ・ドギー・ドッグのデュエット「Nothin' but a G Thang」のMTVが入っている。ドレーのソロはあまり印象に残らないけれど、このトラックはいい。スヌープと並んでもカリスマ性がある。あとは、ドレーとアイス・キューブによる「ナチュラル・ボーン・キラー」だな。
 それにしても『Wellcome to DEATH ROW』のDVDは最高だった。これが「もう一つの」アメリカだと。2PACの犬死にのような銃撃死についても、ようやくというか、得心がいった。ああなるしかなかったわけだ。八ヶ月のあいだに150曲つくったアベレージも、死の予感という説明ですべてぴったりくる。伝説は必要なのだが、生きていては伝説化しない。
 『トリプルX ネクストレベル』の、サミュエル・L・ジャクソンとアイス・キューブの掛け合いにある。「それはだれの名セリフだ」と訊くサミュエルにキューブは「トゥーパックさ」と答える(字幕は「ラッパーさ」だったが)。映画自体は、ヴィン・ディーゼルが降りてしまって、急遽主役を振られたキューブはその手の華のあるアクション・スターではないから、おかげで劇場公開もなしの低調さだった。ブラック版007シリーズにはならず。
 とにかく、いま何を聴くか、といったら、HIPHOPしかないみたいな……。
  1. 2006/12/02(土) 13:17:15|
  2. 日記

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